2011年2月27日日曜日

アートの森の小さな巨人―ハーブ&ドロシー


11月に公開されてから絶対に観たい!と思っていた映画『ハーブ&ドロシー』を、ようやく観に行くことができました。
http://www.herbanddorothy.com/jp/
1時間15分という短い映画なのですが、中身はぎっしり。
単に口コミだけでなく、何度も観たいリピーターの支持を受け、異例のロングランをしているのも頷ける素晴らしい映
画です。
一般的にアートの蒐集家というのは、資産のある人に(ほぼ)限られるのですが、VOGEL夫妻は公務員で、決して
潤沢な資金は無いのですが、節約をして――、或いは時に分割払いをしながら――、
最終的には5000点弱もの現代アートを購入していくプロセスを、N.Y.在住の長い佐々木芽生監督が丁寧に描い
ていきます。
世に一流とされるアーティスト達が彼等に心を開き、本来ならギャラリストを通してしか購入できないところをアーテ
ィスト達から直接購入していく――、
そこには本当にアーティストとの深い信頼関係があるのだと、深い感動がありました。
彼等によって芽の出た巨匠たちは皆、中々世に認められず、時に生活にも困っていたところへハーブ&ドロシー
が最初に買いに来てくれて嬉しかった――、と話しています。
ハーブ&ドロシーは本当に真剣で、アーティスト自身が駄作――、或いは世に出すには未熟と躊躇しているものも
見つけて購入を決めていきます。
ハーブ&ドロシーが持つ審美眼は――、
勿論、ハーブの独学の賜物でもある訳ですが、一見、自分達が理解出来ない世界でも果敢に理解しようとする姿
勢によって培われたんだと思います。
あくなき好奇心――、というのでしょうか。
そして彼等ふたりの風貌もとても可愛らしく――、本当に素敵なご夫婦でした。

この映画を観て――、
無欲なまでにひとつのことに突き進むことの重要性を、改めて突き付けられたように思います。
同時に様々なノウハウや情報に溢れ――、
多くの人が裕福になることを夢見る現代(これは普遍的なテーマかもしれません)――、
この映画がこれだけ支持される意味は、本質的な問い掛けなのだと改めて思いました。

お時間許しましたら、是非。
本当にお薦めです。

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